ケガが多いのはメンタルの影響が大きい

2022.12.06

ケガに関する悩みは、メンタルが大きく影響しています。そう言う理由は、大きく2つあります。

1つは練習が厳しくて休みたくても休みたいと言えない選手は、ケガをします。本当に厳しい練習かどうかは別の話で、ポイントは、選手が休みたいと思ってしまっているところです。

選手のモチベーションが下がってしまっていて、練習に集中ができず、休みたいと思うと、無意識にケガを引き起こしてしまうものなのです。

ケガはメンタルが原因といっても過言ではありません。

ケガをした人のメンタルが弱いと言っているわけではありません。「休みたい」という気持ちが原因にある場合とは、逆のケースもあるのです。

2つめは、練習を休まなければいけないのに続けることで、腱を切ってしまう人がたくさんいます。

特にベテランでメンタルの強い選手は、意思が強く、痛みにも耐えられるので、体が負荷に耐えきれずに先に壊れてしまうのです。

選手達は、常に体に痛みを抱えていて、「腱を切れる痛みと切れない痛みの違いがわからない。でも、腱が切れない痛みであれば練習したい」と言うのです。

ケガに悩む人はこの2パターンのケースです。

では、両者に共通するものはどんなものだと思いますか?

メンタルがケガを引き起こす

それは両方とも真面目で手を抜けないところが特徴です。

前者の場合は、どうしてもモチベーションが上がらない時は、休む口実をうまく作って、早めに切り上げるようにしてください。

おすすめは、年3回まではパスをしてもいいと決めること。

休みがゼロで疲れが取れなくてきつい時や、モチベーションが上がらない時は、思いきって休むようにしましょう。

そうすれば、集中できずにダラダラしないし、「絶対に休めない」と追い込まれることもないのです。

後者の場合は、オリンピックなどの大きな大会の前にオーバーワークによって起きることが多いです。

筋肉は鍛えられるものですが、腱は生まれつきのもので鍛えられるものではありません。

また、加齢と共に、疲労やケガの回復力も衰えます。

これらの体の限界は、努力で改善のしようがなく、受け入れなければいけないことです。

きちんと体の声を聞いて、その体を使って、どうやって勝つかを考えなければいけないのです。

体操のあるベテラン選手は、世界選手権の会場練習でどうもうまくいかないと感じていました。

しかし、完璧にならないからと練習を続けていくうちに、明らかにオーバーワークをしてしまっています。そこで、お伝えしたことがあります。

「ベテランのあなたであれば、本番はバチッと決まると思いますよ。このまま練習を続けたらどうなります?」

20代後半と、体操競技ではベテラン選手になっていた彼は、少し考えてからこう言いました。

「このまま続けていたら、4日間ある世界選手権の最後までは持たないかもしれない」

「だったら、本番は決まると決めて、確認だけにしたらどうですか?」

彼は会話をしているうちに気づいたようです。

「わかりました。不安だから練習したくなるんですよね。それでオーバーワークになって、体がつぶれることになる。不安なだけなら、メンタルで改善できますよね」

こうして彼は会場練習では、ポイントだけを押さえた練習を無理なく行ない、本番ではしっかりと技を決めました。

もちろん、若いうちは経験値が少ないので、しっかりと練習でおさえておかないとシミュレーション不足になることもあります。そのため、完璧にできるまでやることも必要です。

しかし、ベテラン選手が若い選手と同じことをしていると、体が悲鳴をあげてしまいます。

今の自分の状態をしっかりと客観的に見て、不安で練習をしたくなるだけなのだと気づくことが大切です。

不安の消し方としては、メンタルトレーナーと話すことが一番なのですが、それができない人のために、とっておきの方法をお教えします。

「OK日記」をつけることです。何も毎日、長々と日記を書きなさいというわけではありません。

自分のよいところ、OKな行動などを毎日箇条書きでもいいので書き出すだけです。

自分を具体的に承認していく作業は、自己肯定感が高まり、不安から脱却するのに役立つのです。

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