目標を持てない個人が陥る負のスパイラル

2023.02.17

ある30歳を過ぎた男性が私の会社に転職してきました。

残念ながら、彼は入社して1ヵ月 半でリタイアしてしまいました。

私の会社は、カウンセリングやメンタルを扱っているので、社員に対しても「あなたはどう思うのか」と考えをよく聞きます。

あるとき、彼が上司に電話の対応をどうすればいいの 聞いてきました。

彼の上司は、相手が心地よく感じるには、何が大事だと思うか、彼なりの考えを聞いてみました。

すると、「意味がわからない」と怒り出したのです。 なぜでしょうか。

「ひとまず」の生活のなかで小さな目標を設定しよう!

上司としては、彼なりに数あるなかから、何か理由があって、その対応を選んだのだから、その理由を聞きたかったのです。

もっといえば、何が正しくて何が間違いか。正しければその理由を、間違いであれば、 間違えた理由を、きちんと理解することが大事だと考えているのです。

そういった説明をして、再度彼に聞くと、「今まで自分の考えを言ってこなかったし、思 いを表現することは苦痛なんです」と言うのです。

他にも「仕事とは、自分の感情を押し殺して、自分が与えられたことを時間内にやることだ」とも言いました。

彼の上司は少なからず、衝撃を受けました。

人にきちんと話を聞いてもらえず、「あなた の言うことなんてどうでもいいから、早く仕事をして」と言われることが、一番のストレス だと思っていたからです。

私たちは「いいから黙ってやれ」と言われるほうが自分の個性を切りとられるような気がするものです。

その環境に長い間いると、致命傷にならなかったとしても、やがてやる気が落ちてしまいます。

だから、あえてなぜこうしたのか理由を聞いているのですが、それがいやだと言うのです。

彼は「なぜ」はもういいから、どうすれば正しいのか答えを教えてほしい」とも言いました。

残念ながら、自分でものごとを考える習慣が全くないのです。

ひいては自分の考えや、自分がどう生きていくかという姿勢を完全に麻痺させて、お金をもらうためだけに、自分の人生と時間を切り売りしているのです。

つまり、目標を持てていないのです。

人生の目標が明確で、しかもそれが部活や勉強の延長線上にあれば、部活や勉強での目標設定もはっきりとします。

一方、おぼろげながらでも人生の目標を持ち、「ひとまず」は仕事や生活をしなければな らない場合、「ひとまず」 の仕事や生活のなかで考えて、小さな目標の設定ができれば、いずれは人生の目標設定もできるようになります。多くの人がこの段階にいるのではないかと 思います。

しかし、「ひとまず」の学校生活のなかで、何も考えずに小さな目標も見出せないままでいると、自分の考えや感情、個性が失われ、人生は負のスパイラルに陥ってしまうのです。

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