自分がされていやだったことをつい子どもにしてしまう

2022.11.01

親と子どものコミュニケーションが上手くいかない原因のひとつに、「親はいつも、子どもに自分の姿が見える」ということがあります。

親は自分のいいところや好きなところが子どもに受け継がれているぶんにはうれしいのですが、自分の嫌いなところを子どもが再現すると、親はけっこう怒ってしまうものです。

なかには、「私の子じゃない!」と言い出す親もいるのですが、やはり子どもは親によく似ていて、親のいろんな面を映し出してしまうのです。

そういった意味で、親の立場からすれば、子どもはひとりの人間として接するのが世界で一番難しい相手なのです。

今回は親と子どものコミュニケーションについてお話をしていきたいと思います

家族に対するコミュニケーションは親から子どもへと伝染する!?

他人や他人の子どもにはできても、自分の子どもにはできないことがよくあります。

世の中にある子育て神話は、最高の親子関係で当たり前と思っているのですが、実は幻想です。

つまり、理想の親子関係は存在しないし、幻想に縛られる必要はありません。

親子のコミュニケーションは、親と子どもの性格の掛け合わせによるものなので、常に上手くいくわけではないのです。

一番やってはいけないことを押さえておけば、親子関係は7割方、スムーズにいきます。その、やってはいけないこととは、子どもや家族、世の中を否定すること。なるべく肯定感を意識したコミュニケーションをとることが基本です。

もちろん、子どもがやってはいけないことをした時は、否定をしなければなりません。

しかしそれは、子どもがした行動に対する否定で、存在の否定だけは絶対にしないことが重要です。

「あなたなんて生まれてこなければよかった」

「あなたがいたから、お母さんは苦労したのよ」

「お母さんは生きていたってしようがない」

「お前のお父さんはろくでなしなのよ」

こうした存在にまつわる否定は、赤の他人にいう機会はなくても、家族にはつい感情的に叱ったりする時に言いがちなので、注意してください。

家族は自分の原点であり、自分という木の根っこに当たる部分。そこを否定することは絶対によくないのです。

自分が子どもの時に親にされていやだったことを、自分の子どもにしてしまうことがあります。

しかも、よくよく考えてみると、そのいやだったことを子どもに対してだけでなく、家族に対してもしていることに気づきます。

たとえば、自分の母親がいつも父親に「なんでそんなことをするの」と怒鳴りつけていたことがすごくいやだったのに、気づけば自分も子ども夫に同じ口調で問い詰めていることがあるのです。

そして、それをまた子どもが真似てしまう。まさに「親はいつも、子どもに自分の姿が見える」状態です。

家族に対するコミュニケーションは、親から子どもへと伝染するものです。まず、それに気づくことが大事です。

母親がいくら威圧的に父親を怒鳴りつけても、父親は「次からはちゃんとするよ」と言いながらも絶対にやりません。

父親はやらないことで、自分の立場を待っているわけです。これは本当に不毛な戦いです。

そこで、深呼吸をして、言い方のパターンを変えてみるのです。まずは相手の意見を聞いてみましょう。

自分がいやだったことを子どもにしてしまっていると思った時は、「自分が子どもだった時、親がどう言ってくれたら言うことを聞いたかな」と考えてみるのはひとつの手です。

たとえば、「親がガミガミ言わずにもっと褒めてくれたら気持ちよくできたのにな」と思っていたなら、実際にやってみるのもいいでしょう。

子どもは親の言うことは聞きませんが、親のやること(行動や言動)はよく効きます。

要は、親は子どもにどんな振る舞いをさせたいかだと思うのです。

子どもが明らかに親の真似をしていて、「まずいな」と思った場合は、やはり親は直すべきなのです。

親は子育てと一緒に、自分も育てみてはいかがでしょうか。

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