弱音や悪い言葉は、パフォーマンスを落とす危険信号

2022.11.25

弱音を吐くということは、弱音が吐けるだけのゆるい環境があるとも言えます。

実際には弱音を吐けないほど、集中してやらなければいけない環境にいれば、練習して上達できるのです。

とはいえ人間ですから、弱音や不平不満を口に出したり、心のなかで抱いてしまうのも無理はないです。

メンタルトレーニングのなかには、自分のなかでモヤモヤしているものや嫌なものは吐き出す「クリアリング」という作業があります。

今回は自分の弱音とどのように向き合えばいいかについてお話をしていきたいと思います。

弱音は、ノートに書きとめよう

実はこのクリアリングの観点から言うと、嫌なことは嫌と心のなかにあるものを吐き出したほうがいいのです。

ただ、学生の場合は、真面目に練習をしていないように見せかけたい、ファッションのような感覚から、「だるい」「うざい」「最悪」などが口グセになっている人がいます。

よくない言葉を発すると、その言葉に引っぱられてしまったり、自分自身が言葉にまみれてしまうものです。

役者さんが芝居の役になりきると、演じた役からなかなか抜け出せないという話をよく聞きます。

台詞をその役どころになりきってしゃべっているだけでも、その言葉にメンタルが引っ張られるものなのです。

ましてや自分が考えて発した言葉なら、もっと引っ張られて当然です。安易に悪い言葉を使わないよう、気をつけましょう。

弱音を吐きたい場合は、3分間と決めて、時間内に全部言いきります。

ただ、慣れない人にはむずかしいので、ノートに書くようにしましょう。まず「嫌だ」「うざい」と言うような今の自分の気持ちを書いて、何でそう思うのか理由を書いていきます。

書くことで自己探求もできます。

これは競技のことだけでなく、まわりとの人間関係や、恋愛のことなど、何でもOK。試合の結果にも影響をおよぼすことなので、モヤモヤとしたものを持っていて集中できていないようであれば、トップアスリート達にもクリアリングはやってもらっています。

また、監督に対して選手が嫌な感情を抱くケースもあります。

そんな選手のパフォーマアンスは当然落ちてしまいます。こんなこともありました。

「監督が嫌なんです」

「何が嫌なんですか?」

「ダラダラしていて怒られたから。監督は僕のことを気にかけてくれないんです」

「そう、嫌なんじゃなくて気にかけてほしいんですね。監督に気にかけてもらうには、何をしなきゃいけないと思いますか?」

「やっぱり、強くならないと気にかけてもらえない」

「じゃあ、強くなればいいですね。強くなるにはどうしたらいいですか?」

「練習する。でも、練習の組み立て方がわからないんです」

「えー、僕の言うことなんか、どうせ聞いてもらえません」

「監督に『さっきはすみませんでした。今、練習のやり方がわからなくて、どうやったらいいのか教えてください』と言えばいいんですよ」

彼の話をよくよく聞いていくと、監督が嫌だというよりも見捨てられたんじゃないかと不安になっていたんです。

実際、監督に聞きにいくと、監督は当然、彼のやる気を感じられてうれしいし、いろいろと教えてくれます。

このように実は弱音のなかには、解決の糸口がちゃんと埋まっているのです。

セルフメンタルトレーニングをする時は、今の気持ちを書いて、なぜそう思うのか、何ができるのかを書き出していきましょう。

そうすれば、自分のなかに漠然とあったモヤモヤしたものや、嫌なものが具体的なものに変わっていくはずです。

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