2023.04.01
前回の記事では、自分の人生の目標を達成できない、典型的な例として、虐待を受けたタイプの特徴を挙げました。
今回は、そのタイプから抜け出す方法についてお話をしていきたいと思います。
怒りとはある種、振り切れた状態ですから、人間に何でもできる、ものすごい力を与えてくれます。
振り切れた怒りの力を使うと、人生は大幅に変わるのです。
例えば、正しく怒れば、「自分には絶対無理」と思っていたことが実現できます。
この間、アテネオリンピックの男子体操団体で金メダルを獲った米田功さんに、なぜオリンピックで金メダルを獲ろうと思うに至ったのか、聞いてみました。
普段の彼は、とても穏やかな人なので、怒ったところは全く想像できません。
しかし、自 分の犯したミスに対しては、静かにものすごく怒っているのです。
彼は、アテネの前のシドニーオリンピックに出場することができませんでした。
彼は落選した自分に対して、ものすごく頭にきて、「絶対にオリンピックに行く。 でも、オリンピックに出るだけではだめだ。絶対に金メダルを獲ってやる」と心に決めたそうです。
彼はキャプテンとして、選手たちと力を合わせて、みんなの気持ちをひとつにして、金メダルを獲ることに努めました。
それが日本にとっては、2年ぶりの奇跡の金メダル獲得に繋がったのです。
ひとりの人間の怒りが振り切れると、ものすごい力を生み出すことがよくわ かります。
正しく怒るというのは、こういうことです。このときに正当に怒らないと、「しょうがないな」がやがて「どうでもいいよ」になっていくのです。
アスリートのなかでも、怒らない人や、悔しがらない人は、総じて勝負に弱いです。
自分 が負けたときの怒りや悔しさが足りないのです。
残念ながら、今の若い世代は、怒りを上手に表すことができません。
怒りにはものすごいパワーがありますから、人を傷つけることに使ってはいけないのです。
逆に、怒りをプラスに転化すれば、自分の人生を一気に変えるパワーにできることを覚えておいてください。
生きていたくないし、無気力です。
カウンセリングをしていても、虐待を受けてきたタイプは、人生に絶望しているし、もう無気力な人たちを生きる気持ちにさせるには、実は怒りしかありません。
愛情は、二の次なのです。
生きていてもしようがないと感じる人に、「せっかく生んでくれた親の愛情を思い出して」と言う人がいます。
しかし、その愛情を感じられるようであれば、死にたいとは思わないのです。
神経が完全 に麻痺してしまって、人からの愛情も自分の人生もどうでもいいと思っているから、死にたいのです。
こんなとき、怒りや悔しさが生きる気持ちを取り戻してくれます。
虐待を受けてきた人に「こんな死に方をして、悔しくはないの」と言うと、「ああ、そうだ。「悔しい」と言います。
「あと半年でもいいから、生きて、やりたいことをやってから死んだら」と言うと、「それもそうですね」と応じます。
それから「じゃあ、何をやりたいの」と話し合っていくのです。
最初に怒ることによって、生きる気持ちを持ってくれるのです。
虐待を受けたタイプは、優しくて弱いので、怒ることができなかった人たちです。
このタ イプに「やる気を上げて、頑張ろう」と言っても、「もう頑張れません。僕を追いこまない でください」と言うはずです。
そこで、正しい怒りの力が必要になるのです。
怒りには、何ものも飛び越えていけるパワーがあります。
自分を苦しめている不当な扱いに気づき、正しく怒ることで、自分の人生を変えるパワーにしましょう。