チームで決めたことを実践できないときの対処法

2023.05.26

次に、チーム全員の意見で作った練習メニューにしたがい、朝練を始めました。

目標を達成するには、みんなでやるという環境を作ることも大切です。

ひとりだと億劫で 仕方ない朝練も、チームのみんなで集まると、いい練習ができたりします。

ところがある日、朝練に何人か遅刻してきました。メンタルトレーナーなら、選手達にこ う言います。

「みんなで朝練をやると決めましたよね。それでもやらないなら朝練をやめますか?」。

選手達は不思議とみんな「やめません」と言います。

「でも、遅刻するようだったら、やめたほうがいいんじゃないですか。決めたことができな いようなら負け癖もつくし。だったらやめて、朝はゆっくりしたらいいんじゃないですか?」

「いや、やります」

「でも、やれていないでしょう」

「次からは絶対やります」

実は自分で決めたことが途中でできなくなる人は、メンタルの体力があまりないため、それほど長続きさせることが得意ではありません。

1回決めたことを何年も続けられるような 人は、それなりの結果を出します。

しかし、多くの人は「やります」と言って、持って3ヵ月ぐらい。人によっては3週間ぐらいで脱落していきます。

もしも、たくさんの人が遅刻するようになったら、「じゃあ、次に遅刻したら朝練はやめ ましょう。でも、やめる代わりに何をしますか?」と聞くようにしてください。

たとえば、 朝早く起きて練習できないなら、夕方に残って朝と同じ練習メニューをすればいいのです。

ただ、監督やコーチなど、指導者は朝練が好きです。

実は朝練の効果は「朝、誰も練習し ていないときに、練習している自分はすごい」というメンタルに自信をつけるためだけのも のなのです。

夕方にする通常の練習では、メンタルは鍛えられません。

「自分は3年間、毎朝5時に起きて練習に打ち込んだんだ」というつらくて大変だった思い出が厳しい接戦になったときや、競技をやめたあとの次の人生に活きるのです。

学生時代の朝練の大変だった思い出は、社会人になって大変な仕事を抱えたときに平気で やっていける強いメンタルを作っています。

だから、メンタルを成長させたい学生達には、 朝にかける負荷は効果的なのです。

逆にプロの選手が朝練をしないのはそのせいです。指導者は、朝練の効果がメンタルを鍛えるためだけのものと知っておく必要があります。

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