2022.10.20
子どもにとって、家族とは、究極のモデリングだと思います。離婚した親の子どもは、離婚しやすいという話がよくあります。
それは、親が離婚したから、子どもも「離婚できる」と思っているわけではなくて、親が離婚すると、子どもに夫婦のモデルケースがなくなるのです。
おそらく子どもは理想を持っていて、「親は失敗したけれど、私は理想の家族を作る」と思って、結婚します。
しかし、理想はあくまでも理想ですから、上手くいかなくなるのです。そうして、理想に固執すると、結果的に離婚を繰り返すことになります。
そうならないためにも、今回は子どもに夫婦のモデルケースを見せる意味についてお話をしていきたいと思います。
そもそも夫婦とは、性格は違うし、価値観も相容れないことが多いです。
喧嘩はもちろんするし、特に子育てに関しては、血みどろの戦いのようになることもあるほど、意見がぶつかりやすいものです。
また、時にはどちらかが浮気をすることもあれば、家事をやらないこともあります。
家庭とは、そんなさまざまな夫婦の関係を大前提とした上で、成り立っているものなのです。
そして、どんなに罵り合いをしたとしても、夫婦が別れないというモデルケースを、子どもが知っておくことが大事なのです。
たとえば、夫婦が喧嘩して、お母さんは「あんなの最低」と言って、お父さんと口を聞いていなかったとします。
それでもお母さんは、お父さんの分のご飯をきちんと用意する。お父さんも何だかんだ言いながらも、家出せずにきちんと帰ってくる。こうしたお父さん、お母さんの姿が子どもにとって、夫婦のモデルケースになるのです。
また、夫婦で喧嘩をしても、別々の部屋に行って離れるのではなく、同じ空間に一緒にいるということを子どもが知っておくことも大切です。
ある資産家の夫婦が小さな喧嘩をしました。でも、家が広いので、別々の部屋で顔も合わせずに暮らしていました。
そんな生活が続くと、同じ部屋の下にいるけれど、ただ籍を入れているだけという状態になり、結果的に離婚をしました。
やはり、夫婦が一緒の空間にいなければ、家族である意味がなくなってしまうのです。
両親が多少喧嘩しながらでも、一緒にいれば、子どもは家族である意味を確認できます。
もちろん、なかには女の人が暴力を振るわれていたり、苦しめられていることもあるので、離婚したほうがいいケースもあります。
でも、夫婦の低空飛行を見せながらも、子どもに「幸せな家庭じゃなかった」と思わせなければいいのです。
離婚を経験した知り合いの女性は、子どもに「お母さんは離婚をしたよね?」と聞かれた時に、「人間だから、誰でも間違うことはあるのよ。お母さんは間違いに気づいたから、離婚をしたの。前向きでしょう?」と話しました。
「間違いに気づくことが大事で、間違えたまま。ズルズルと続けるんじゃなくて、前向きに離婚をしたのよ。だから、あなたは別に不幸な子ではないし、お父さんがいない子でもなくて、たまたま諸事情で一緒に住んでいないだけ。そういう人はいっぱいいるからね」
そう話すと、子どもは「そうか」と納得します。
子どもにきれいなものや理想的なものだけを見せようとする親は多いのですが、そうすると親としてはだんだんときつくなっていきます。
そんな時、親は理想に縛られることから、早く降りたほうがいいのです。