2022.12.21
試合中に緊張して、本来のパフォーマンスが出せない人は多くいます。
緊張とは、緊張反応と呼ばれるもので、人間が危険を感じた時に自然と出てしまう体の反応です。
緊張すると、体が硬くなったり、手に汗をかいたり、心臓がドキドキするなど、さまざまな反応が表れます。
緊張した原因は、人それぞれ違うものです。でも不思議なことに、緊張の反応はみんな同じものです。
実は、緊張はメンタルとは関係なく、必要があってDNAにん埋め込まれている生理現象なのです。
今回は、緊張反応と上手く付き合う方法についてお話をしていきたいと思います。
人間は猿から進化を遂げ、草原を直行歩行しはじめたころ、ライオンなどの肉食獣にしょっちゅう襲われるような危険があったなかで、人間は生き延び続けてきました。
そのころ、人間の危険に対する反応のメカニズムができあがったと想定されます。
当時の緊張の原因の多くは、肉食獣などに命を狙われる危機でした。
暗闇から物音が聴こえて、「もしかしてライオン?」と脳が危機を察知したら、まず筋肉を硬くして、毛細血管を収縮させます。
こうすれば、肉食獣に噛まれても一気に血が流れることがありません。致命傷にならずに逃げ切れる可能性があります。
顔が熱くなって火照るのは、状況を判断するために大脳に一気に血液を送り込んでいるからです。
心臓がドキドキするのは、体をいつでも動ける状態にしています。
脳がギュッと締まるのは、敵の攻撃から内臓を守るため。手に汗をかくのは、猿だった名残で、木の枝をつかんで逃げやすくするためです。
このように人が生き延びるために防御反応は強化され、緊張したら体に反応が出るようになったのです。
現代で緊張するシーンといえば、大事な試合です。
学校だったら、みんなの前で何かを発表したりする場でしょうか。仕事では、面接やプレゼンテーションなどでしょう。
確かにどれもプレッシャーを感じる場面です。でも、ライオンが襲ってくるような生命の危機ではありませんね。
だから、脳に「ここにはライオンはいないよ。生命の危機じゃないよ」と教えてあげれば、体は反応する必要がなくなるので、緊張の反応は治まります。
アスリートにとって、筋肉が硬くなったり、手に汗をかくという体の反応は、試合で致命的な状況を招くものです。
野球のピッチャーならば、ボールのコントロールをミスしたり、スピードが落ちてしまいます。
試合のために何百回、ん案毎回と練習してきたことが、脳が勝手に反応する緊張反応だけで変わってしまうのです。
メンタルトレーニングの究極の目的は、世界のトップと大きな会場で試合をしても、家で投げても、同じパフォーマンスができることです。
アスリート達には、いつもこの話をして、緊張反応を正しく理解してもらっています。
緊張反応は、まるで生命の危機が、今ここにあるように、自分の脳が作り出したものです。緊張した時は、ゆっくり深呼吸しながら「ライオンはいない。ここはお花畑」などとイメージすれば、体はリラックスして、1つのことに集中しやすい状態になります。