人間関係を理由にすると「自分」が変われない

2023.02.05

また、家族に迷惑をかけるといった理由は、一見優しいようにも思えますが、実は典型的な言い訳なのです。

以前、主婦の方をカウンセリングしたことがありました。

何か新しいことをはじめるときに、家族に迷惑をかけてまでやりたくないという心理がある女性で、本当に迷惑がかかるのか、とことん話し合ったことがありました。

そうすると、決して家族に迷惑をかけるわけではないのです。

子どものいる女性が習いごとなどをやめる理由の多くに「子どもに迷惑をかけてまで勉強したくない」というものがあります。

何が迷惑なのか聞くと、「私が家にいないと、中学生の子どもが勉強に集中できない」と言うのです。

果たして、本当にそうでしょうか。

自分でやると決めたことは周りに宣言しよう!

厳しい言い方になるかもしれませんが、いつも家にいて、みんなの世話係を買って出ているから、お手伝いさんがいなくて不便だ、と子どもに言われているのと同じ。

それでは、依存親子もいいところです。

毎日、ご飯を作っているのだから、週1回ぐらい自分たちで作るように言えばいいのです。

子どもが小さいならまだしも、中学生にもなっているのですから。

そういった話をすると、その女性は「そんなことを言っていいんですか」と言いました。

彼女には、主婦が家庭のことをすべてやらなければいけないという価値観があるのです。

そこで、私はこう切り出しました 。

「そうであれば、英会話を勉強したいとか、将来子どもが独立したときのために何かやっておきたいという考えは、一切捨ててください。子どもが成人して家を出ていったときに、何 も勉強をしていなくて、仕事がなくても、『私は家族の世話をしてきた』と、堂々と胸を張っ ていればいいのです」

この女性の価値観が家族を最優先することだというのなら、子どものために尽くすことは、 それを続ける理由になり、ものすごく誇れることのはずなのです。

私は「あなたが母親として素晴らしいことだと心から信じているのであれば、最高の母親

「じゃないですか」と言うのですが、今度は彼女が「でも、周りは評価してくれない」と言い はじめます。

つまり、結局すべては人次第の理由になっているのです。こういう人は、自分がしたこと に対して、相手に対価を求めます。子どもに対しても、自分を犠牲にして専業主婦をやってあげたという思いが強くあり、「私の面倒を見て」「結婚しても近くに住んで」「私の言うことを聞いて」などと言いはじめるのです。

これを心理学では共依存といって、その人間関係のなかで恨みや憎しみを生み出す背景に もなってしまうのです。残念ながら、これでは自分の人生や家族の人生に対しても敬意がない、といえます。

まずは、自分でやると決めたら、周りに宣言しましょう。その上でどうやったらできるか を考えていくのです。「お母さんは週1回、勉強で出かけるけど、みんなは何ができる?」 と話し合っていけばいいのです。

このように、やめる理由が子どもや家族、恋人、友人、職場の上司、同僚、部下など、人次第の人は、注意してください。

厳しいことをいうようですが、 人間関係は単なるきっかけ。

新しく勉強や仕事をはじめる ことは不安だから、他の人を言い訳にして逃げているのです。

それなのに、最高の母親や、 最高の仕事をしているという自負も持てないから、それからも逃げることになります。この ような状況が続くと、やがて自分の行き場がどこにもなくなってしまうのです。

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