米国の大学での男子学生の例

2024.01.10

4点を獲得できた人は、なにかを心に決めたら実現に向かってひたむきに頑張れるタイプです。

目の前の困難から逃げず、つねに努力を重ねて粘り強く取り組むことができます。

情熱を持って、粘り強く物ごとに取り組む資質は、成功するため に不可欠なことでしょう。

米国・ペンシルベニア大学で心理学を教える、アンジェラ・リー・ダックワース博士が著書『やり抜く力 GRIT』で紹介した男子学生のエピソードを例にします。

ダックワース博士が「やり抜く力」についての講演を終えると、ある男子学生が話しかけてきたといいます。

彼はとても優秀な学生で、その年の 初めに苦労して数千ドルの資金を調達し、起業したのだそうです。

ダックワース博士は男子学生の行動力と努力を褒めながらも、「やり抜く力は瞬発力ではなく、持久力なのよ。

だから1~2年経っても今と同じぐらい精力的にそのビジネスに取り組んでいたら、ぜひ私にメールを送って。それであなたにやり抜く力があるかもっとはっきりわかるから」と言いました。

すると、男子学生の顔が曇ったそうです。

「すごくがんばる」のは「やり抜く力」とは異なる。男子学生は少しの逡巡の後、口を開きました。

「多分、何年も同じことはしていないかもしれ ないですね・・・・」

ダックワース博士は、それが問題だと指摘します。ある業界でビジネスをしていた人が、まったく畑違いのビジネスを始めたら、それはやり抜く力がない証拠であると主張します。

この男子学生が立ち上げたのが、ホームページ制作会社だったとしましょう。

しかし、数年経って今度は飲食業に軸足を移したとしたら、彼にはやり抜く力がなかったということになります。

男子学生は狼狽しながらも、反論しました。

「仮に将来、僕がいろいろなことに手を出したとしても、それぞれをすごく頑張ったとしたら、それでもやり抜く力がないことになりますか?」

「すごく頑張っただけでは、やり抜く力があるとは言えないの」

「なぜですか?」

「一流になるための近道はないから。専門知識を身につけるのも、問題の解決方法を見つけるのも、ほとんどの人が思っている以上に時間がかかるもの。そして、それらを身につけた上で人々の役に立つ製品やサービスを生み出さなければいけないのよ。ローマは1日にして成らず、よ」

確かに、勘違いされがちなことかもしれません。

「日々の努力を続けられること」と「同じことを長い間、続けられること」はまったく異なります。

日本でも米国同様、転職がごく普通に行われるようになりました。

キャリアチェンジも多く行われています。

興味のある業界や、やりたい職種に次々とチャレンジしているような人は一見、アグ レッシブにも見えますが、考え方によってはひと つの業界でプロフェッショナル性を極めていない 中途半端なキャリアにもなりかねません。

もちろん、同じ業界・同じ業種で勤務先だけが 変わるのは、「やり抜く力がない」とはいえません。

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