2024.01.15
私たちの仕事や生活の場においても、この「入念な準備」は大切な作業です。
おそらく多くの人 がそうであるように、なにか大切なことに臨む前には、綿密に計画を立てたり、入念に調べたり、何度も練習したりするでしょう。
自分が大切だと思っている目標に対して、入念な準備をしないとどうなるでしょうか?
先ほどの一流水泳選手が、たとえば大会前にまったく練習をしなかったら・・・・・・。皆さんもイメージした通り、おそらく望んだ結果は出せないでしょう。
一流水泳選手に限らず、私たちも同じです。
たとえば、次のような目標に対して「入念な準備」 を怠ってしまうと、失敗や挫折につながる要因にもなってしまいます。
●目標:営業職で働いており、今期中に大手クラ イアントの成約を取り付けたい
クライアントの要望をヒアリングしきれていない。 飲み会やデートなど、プライベートも忙しく資料を適当に仕上げた。
プレゼンの練習時間も足りず、カンペがないと話せないまま。
大事なコンペの場では質問に答えられずしどろも
クライアントから酷評され成約を逃すだけでなく、 上司からも大目玉をくらう
●目標:1年後までに100万円を貯めたい
毎月の貯蓄額を決めておらず、余った分だけを回すことに。
日々の収支表もつけず、飲み会があれば誘われるがままに参加。
さらに、友人の思いつきで誘われ2度も海外旅行へ
余裕どころか毎月赤字の状態に。貯金を少し切り崩してしまう
目標: プレイングマネジャーから部長に昇進したい
10名のメンバーを束ねているが、チームの雰囲気がつねに険悪。
しかし、現場業務が好きなのでメンバーへのヒアリングや業務改善に着手できていない。
上から言われたことを下へ流すだけで手一杯…………
不満を募らせたチームメンバーの退職が相次ぎ、業務が逼迫してミスやトラブルが多発。部長の資 質なしと会社から判断されてしまう
これらも、「入念な準備」さえ行なっていれば、多少はマシな結果になっていたでしょう。
“あるある”な失敗といえばそれまでですが、「入念な準備」を怠ることを2度も3度も繰り返すようでは、もはや目標を達成する意欲などないと言わざるを得ません。
自分の中に目標を達成する必要性がなければ、「やり抜く力」も発揮されることはないのです。
ダイエットも、貯金も、大会で金メダルを獲得 するのも、考え方は同じです。「当たり前のこと」 を毎日こつこつと積み重ね、来るべき日のために「入念な準備」を行う。その過程でこそ、確実に 「やり抜く力」は培われます。
「やり抜く力」は入念な準備によって培われる ことはわかりました。では「才能」はどのように評価するべきでしょうか?
かのニーチェは、偉業を成した人々のことを、こう述べています。
「天分だの、天賦の才だのと片付けないで欲しい。才能に恵まれていない人々も偉大な達人になるのだから。
達人たちは努力によって偉業を成し 遂げ、(世間で言われる) 天才になったのだ。
・・・・・・彼らはみな、腕の立つ熟練工のごとき真剣さで、まずはひとつひとつの部品を正確に組み立てる技術を身につける。
そのうえでようやく思い切って、最後には壮大なものを創りあげる。
それ以前の段階にじっくりと時間をかけるのは、輝かしい完成の瞬間よりも、むしろ細部をおろそかにせず、丁寧な仕事をすることに喜びを感じるからだ」
偉人たちの成し遂げた偉業よりも、その土台にある努力の積み重ねこそ讃えるべきだとニーチェは語っているのです。