2024.01.25
いくら毎日の練習を習慣化したとしても、漫然と練習するのでは時間の無駄になってしまいます。
また、いくら一生懸命、長時間練習したとしても、それが上達につながらなければ意味がありません。
いかに短時間で効率的に練習をするか。それが目標を達成する鍵になるのではないでしょうか。
グリット力には「意図的な練習」という考え方があります。
米国の心理学者、アンジェラ・ リー・ダックワースが著書『やり抜く力 GRIT』(ダイヤモンド社)で提唱した言葉です。
ダックワースは「意図的な練習」を、「ただ闇雲に一生懸命やっても意味はなく、意図を持って練習しなければならない。それは大変だが楽しいものでなくてはならない」と定義づけています。
また、「意図的な練習」を満たす要件を以下のように定めています。
「明確に定義されたストレッチ目標」
「完全な集中と努力」
「すみやかで有益なフィードバック」
「たゆまぬ反省と改良」
この4つの項目すべてに該当するような練習を、普通の人は何時間ぐらい行っているでしょうか。
楽な道を選んで、最低限の練習しかしていない人も多いかもしれません。
日本では古くから精神論が語られることが多かったため、過酷な環境で長時間、疲労困憊するほど練習することが美徳と考えられる傾向があります。
しかし、いくら長い時間、一生懸命練習したとしても、それが「意図的な練習」とは限りません。
2012年のロンドン・オリンピックのボート競技金メダリスト、マッズ・ラスムッセンは日本のチームに招かれて来日した際、彼らの練習時間の長さに驚愕したといいます。
そしてラスムッセンは「ただ、何時間も猛練習をして、自分たちを極度の疲労に追い込めばいいというものではない」と諭したそうです。
「大事なことは長時間の練習ではなく、周到に考えた質の高いトレーニング目標を設定し、それを達成すること。
そういった効率的な練習は長くても1日に数時間が限度」と続けました。
ジュリアード音楽院のパフォーマンス心理学者、ノア・カゲヤマのエピソードでも「意図的な練習」は裏付けられています。
2歳でバイオリンを 始めたカゲヤマは、22歳のとき、効率的にスキルを磨く「意図的な練習」に気付き、実践し始めました。すると、みるみる上達したといいます。