成功者は意志が強い、とは限らない

では、事業に成功し、とてつもない利益を出している社長は「鉄のような意志を持っている人」なのでしょうか。

必ずしもそうとは限らないのが、意志力のユニークなところ。成功者はあることで突出した意志力を発揮して成功した反面、普通の人以上に誘感に弱い面があることが多いからです。

大成功している社長が、実はヘビースモーカーで何度も禁煙に失敗していたり、買い物依存に陥っている、銀座のクラブ通いがやめられない、などは聞いたことがある話ではないでしょうか。

大企業をリードするほどの人間が、煙草1本の誘惑に負けてしまうとはなんとも矛盾した話のように聞こえるかもしれません。

意志力にはさまざまな種類があります。会社を立ち上げて、大きく成長させるまでに必要な意志はとてつもなく強い人も、煙草をやめる意志は弱い、という現象も起こり得る話です。

また、筋力と同じように意志力もその時々で発揮される力が異なることも挙げられるでしょう。

たとえば逞しい上腕二頭筋を持つ人も数百回の腕立て伏せをした後では、消耗して力を入れることができなくなってしまいます。

意志力でも、まったく同じことが起こります。

過度なストレスにさらされたり、自分の印象をよくしようと思ったりすると、意志力が弱まってしまうのです。

会社を牽引していく役割で多くの意志決定に携わる社長なら、疲弊したときについ煙草に手が伸びてしまう・・・・・・禁煙できない理由がここにあると考えられています。