2023.01.16
練習がなかなかうまく行かない。試合で結果が出ない。そんな状態が続くと、人は自身を失っていくものです。
選手本人ははっきりと口に出さなくても、まわりから見ていると、「自信をなくしているな」と思う時があります。
今回は自信をなくしたときに、どんな風に自信を取り戻せばいいかについてお話をしていきたいと思います。
自信をなくしている本人たちは、それをストレートに言わず、「やめたい」「もう無理」「向いていない」と言うことが多いように思います。
やはり、競技を続けていると、ものすごくきつい試合があります。
自分の体調もよくなくて、強い相手との試合でコテンパンに負けた時には、「何でこんな試合をしなきゃいけないんだろう」という心境にもなります。
そこで私はこんなカウンセリングスキルを使います。
「今までのあなたの人生のなかで、一番伸び伸びとプレイして、試合の出た試合はいつですか?」
これは「原体験」と言うのですが、誰でも競技を続けていると、自分の記憶のなかにベストな体験があるのです。
それを思い出して語ってもらうことで、自信があって、結果も出て、伸び伸びとしていた時の脳になるのです。
そして、その時の状況を聞いていきます。
「その時は何があったからできたの?」
「あの時は立場も何もなかったから、思いきってできました」
「じゃあ、思いきりよくいけば、よい試合ができるよね」
強かった時の自分の脳にしたうえで、何があったからできたのか、具体的に自己分析をしてもらうのです。
面白いことに一方的にかった試合を思い出す選手はひとりもいません。
みんな格上の相手と死闘をくり広げて勝った試合や、ケガをして絶体絶命のピンチだったのになんとか逆転勝ちした試合を思い出すのです。
過去にものすごくチャレンジしたことが、その人にとっての一番の自信につながっているものです。
自信は「絶対に無理」と思うようなことを突破した経験によってつくものなのです。
自信は、結果の出た「チャレンジ」から生まれる。では、その「チャレンジ」のきっかけとは何か。最終的には、これを探るのです。
先ほどの選手の場合、チャレンジできたきっかけとなったキーワードは、「思いきりよくいく」ことでした。
「思いきりよくいく」イコール「すごくよかった時の自分」とつながっているのです。
だから、次の試合は「思いきりよくいく」気持ちをで臨めば、自信を持って、新しいチャレンジができるのです。
そのチャレンジは、自信につながります。チャレンジの結果勝てば、また大きな自信が生まれます。
このくり返しが、自己肯定感を強くしてくれるのです。
ただし、過去の経験を思い出し、自身を取り戻したところで、試合に必ずしも勝てるわけではありません。
目の前の試合や練習で、あなたが過去に築いた自信が何をしてくれるか。
それは、チャレンジする力を与えてくれるだけです。勝つか負けるかは、さまざまな要素があわさって決まるものです。
だから、私は選手たちに「勝ちなさい」とは言いません。チャレンジをしてほしいのです。勝ち負けは単なる結果だし、あとからついてくるものです。
チャレンジをすることは、自分の可能性を広げることにつながります。成長の糧です。これが一番大事なのです。
その結果の勝ち負けは、真に重要ではありません。
勝ってさらなる自身を得ることはできます。でも、負けてはじめて気づかされることがあるのです。
大切なのは、試合や練習であなたなりに悔いのない、ベストを尽くしたチャレンジができるかどうかです。
今あなたに、チャレンジする気持ちがないとすれば、自信を失っているのでしょう。
ぜひ、過去を振り返ってください。自分のなかで一番伸び伸びとできた試合、そして結果がともなった試合があるはずです。
ベストな原体験にあるキーワードを見つけ、自信を取り戻して、再びチャレンジをしましょう。