ティーチング、コーチング、カウンセリング

2023.08.12

ではいよいよ、メンタルトレーニングとはどういうものか、お伝えしましょう。

まず、私たちが普通の心理状態で慣れた仕事をしている時のパフォーマンスの線が一本あります。

これはアベレージラインといって、自分の精神状態がほぼ安定し、能力に見合ったパフォーマンス (生産性)を発揮している時のレベルです。

ところが、新入社員が新しい職場に入ってきた時は、まだ仕事に慣れていないため、 このアベレージラインのかなり下のところにいます。この新入社員をアベレージライン のレベルまで引き上げるには何が必要でしょうか?

それは「ティーチング」、つまり具体的に教えることです。「これをこうしなさい。これはこういうものですよ」と、上司や先輩が一方的に部下に対して、命令形で情報提 供をしたり知識を授けたりして、一般の能力ベースにまで引き上げていくことです。こ れをティーチング、指導といいます。

次に、「コーチング」という考え方です。これは、スポーツのコーチを思い出してください。

精神的にも安定していて、かつ、一定の能力がある人に対して、さらに具体的 な指導や気づきを与えることによって、今以上の能力、技術を提供していきます。
つまり、アベレージラインのさらに上をめざして、指導者がトレーニングすることをコーチングといいます。

最近この言葉は、日本でも耳にするようになりました。
コーチングによって対象者のパフォーマンスを高めることは、スポーツの分野でテクニカルコーチがやっていることです。

ところが、対象者が精神的に不安定な状態だったり内面的に問題がある場合、適切なコーチングができないことが多々あります。
そこで登場するのが、「カウンセリング」なのです。

カウンセリングは、能力的にはアベレージラインの位置にいる人が、精神的に不安定になったり、トラウマや心の傷などの様々なメンタル面の問題によって、パフォーマンスが下がっている時に有効です。

カウンセリングは、ティーチングやコーチングといった上向きの指導だけでは決してケアできない時に必要となります。

専門的な心のケアを行うことによって、下向きの状態をしっかりと受け止めさせて、そして上向きの状態に変えていき、また元のアベレージラインに戻すものが、カウンセリングと呼ばれるヒューマンサポートスキルです。

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