関わり行動のコツ

2023.08.19

今回はメンタルトレーナーや心理カウンセラーに必要とされる、具体的なコミュニケーションスキルの習得をしていきましょう。

「関わり行動」というのは、メンタルトレーナーや心理カウンセラーが相手と関わる際 の具体的なスキルです。ただし、このスキルは心の専門家だけではなく、優秀な指導者たちは皆、抜群に上手いものです。

例えば、巨人軍の原監督はホームランを打って帰ってきた選手に必ずグータッチ(お互いに握った手を合わせること)を顔の高さでしています。

その理由について、原監督は義田氏にこう答えたそうです。

「普通は腰の高さで手の平を上に向けてタッチを待ちますが、そうするとつい手を見てしまうから、お互いの目が見れないのです。グーにした手を突き上げて相手の顔の前に出すと、相手も同じように応えてくれます。そうすると、否が応でもお互いの目と目を正面から見ることになるからです」

監督がホームランを打った選手の顔をしっかり見て、「よくやった!」とか「お疲れ様!」と声をかけると、普通にタッチするよりも遥かに強いストローク(心理的なメッセージ)として選手に響くに違いありません。このように、優秀な指導者たちは皆、素晴らしい関わり行動を持っています。

ではここで、心理カウンセラーやメンタルトレーナーが行う関わり行動とはどういったものか、考えていきたいと思います。

まず、相手が安心して話せる環境を作ることです。 いきなり、鬼コーチのように上から目線になるのではなく、とにかくゆったりと座った状態で相手の話を丁寧に聴くことが大切なポイントとなります。

スポーツの現場などでは、ゆったりとしたソファーセットはなかなかないと思いますが、ベンチに腰かけたり、ちょっとした手すりに横並びに座ったりするだけで、遥かに 話がしやすくなります。

また、どうしてもやむを得ず立って話を聴く場合、腕組みをしたりすると良い関わり行動にはなりません。座った状態でも足を組むことは避けましょう。

無意識のうちに「相手に教えてやる」とか、「俺の方が専門家だ」というアプローチになることは絶対避けるべきです。

つまり、心のことを語る時、そこが安全で安心できる場でなければならないことを覚えておいてください。

ソファーセットやカウンセリングルームがなくても、素晴らしいメンタルトレーナーがいるところが、メンタルの会話ができる最高の環境なのです。

ビジネスの現場では、時には階段の踊り場が良いメンタルトレーニングルームになることがあります。

スポーツ現場では、ちょっとした通路の隅っこやベンチや観客席が、 試合前の素晴らしいメンタルトレーニングルームになります。

大切なのは、そこが選手やビジネスマンにとって何でも安心して話せる場所になることです。笑顔やしぐさを含め、全身、五感を使って、そのような関係性を作っていくことが大切です。

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