失うことを受け入れよう

2023.09.29

がんになってみて初めて知ることも多い。

「喪失感とは? 自己の価値観における大切な人や物、大事にしてきたものごとが失われてしまったという、悲痛な感覚や寂しさ(実用日本語表現辞典より)」。

病気になれば、それこそものすごい喪失がやってくる。

1. 体力を失う=体力がなくて、今までどおりには働けない。遊べない。 楽しめない。

2.身体の一部を失う=手術って乳房の切除はもちろん、髪の毛、爪いろんなものを失っていく。

3.未来を失う=将来を失う恐怖。

「生存率とは? 「生存率」という言葉」。

今回、当事者にとってはすごく残酷な言葉だと初めてわかった。

5年以上の生存率は、○○パーセントと言われて頭をかしげる。5年以上、じゃ10年は? その先は? がんなのに5年も生きたらすごいでしょ?ってこと? 60%って多いの? 少ないの?

もちろん一般的な数字は大切なので、知りたいところではあるけれど、本当に知りたいことは、自分自身が生きられるかどうか? 生きるためには何をすればいいのか? それを教えてくれる人はいない。

毎日それを探すのはたいへんなこと。

進行し続ける病気と向かい合うと、常にたくさんのものをものすごい勢いで失いながら、日々たくさんの選択を迫られる。

失うことは怖いけれど、そこに執着しても仕方ないのであれば、失うことを受け入れて、その上で何を生み出せるのか?を考えていきたい。

なくなるものにしがみつくのではなく、新しい生き方を見つけていくことでしか、やってられないなあーって思うこの頃。

でも、それが喪失感との向かい合い方のような気がします。「自分の命」を見つめながら、これからの活動計画を考える。

やりたいこと、やるべきこと、これを機にもっと前に進みたい。 「前に進む」の定義はいろいろあるけれど、止まって、水が濁って淀むのだけはいやだ。

今日は、手術前の最後の診察。

最初の予見よりも大きな手術。

死というものにはまだリアリティがなくて、頭がよく回らない。だけど決めることがたくさんで、一つ判断を間違うと将来を失う。

だけど命を守るための決断もそれに伴って失うものもたくさんあって、それでもそこからは逃げられないわけで。

病気になったことを人生の失敗とは思わないし、ここからいくらでも回復してやって思ってる。ここから学ぶものがたくさんあって、気づきが深すぎてまとまらない。

今は、多くを失う決断をしながら、命を守る。 もしかしたらそれを「希望」と呼ぶのかもしれません。

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