2022.10.28
昔は成人するのが早く、16歳で元服をして、一人前の大人としてしっかり働くことで、親や社会から評価を得ていました。
しかし、今はまったく逆で、いつまでも子どもでいて、親に依存することによって、親からも社会からも評価を得ていると思います。
たとえば、子どもが「女子高生です」と言うと、妙におじさん達にウケがよく、価値が上がります。世の中も子どもに幼くいることを望んでいるかのようです。
そうした世の中の背景を理解するためにも、今回は親が子どもを大人として認めていくことについてお話をしていきます。
たとえばですが、子どもが8歳になったら、個室を与えるというルールを決めるのです。
パーソナルスペースを確保することで、子どもは自立している実感が湧いてきます。
そして、子どもが8歳以上になって、何をさせるかは、家庭のなかであらかじめルールを決めておいて、そのルールに則って、自立のステップを踏んでいき、大人として認定していくのです。
8歳になれば、ひとりでキャンプに参加できる、10歳になれば、家族会議に参加して発言権がある、15歳になれば、ひとり旅に出られるなど、何でもかまいません。
今は3歳の子どもでも、18歳の子どもでも、親の扱いがまったく変わらない場合が多いのです。
幼い頃から携帯やゲーム、個室も与えられていて、そのままの環境で18歳になる。何も自覚することなく、ただ歳をとっただけで、何も成長していない。
これでは、子どもが大人になる自覚は芽生えてこないのです。
昔は元服という儀式があり、大人と同じ髪型にすることで、「今日から大人」という自覚生まれていました。
しかし、今は社会構造的に、子どもが大人になっていくステップがないのです。
だから、テレビでニュースになるように、成人式で3歳の子どものように暴れる大人が出てくるわけです。
あれは、砂場で遊んでいる子どもと変わらないのです。
そこで、先ほどの家族のなかでルールとして決めた、大人へのステップが役立つのです。
8歳の儀式、12歳の儀式、16歳の儀式など、さまざまな自立のステップを踏んでいくことで、子どもはその度に自由と権利が与えられます。
こうして、自由と権利を与えられた子どもは、「大人になるって気持ちいいな」と思うようになります。
子どもが12歳になったら、就寝時間は自分で決められるというルールを設ければ、その自由と権利を得たことによって、大人としての自覚ができてくるのです。
食事の時であれば、幼稚園の頃はプラスチックのお茶碗だったのが、小学生になると小さな陶器の器になり、8歳になると大人と同じものを使う。
そういったささいなことでも、大人としての自覚を養えます。
他にも海外ではよくあることなのですが、子どもが12歳になったら、大人が行くコース料理のお店に連れていきます。
ヨーロッパでは、12歳以下は大人と見なされないので、入店を断られるお店が多いのですが、12歳になれば、コース料理のお店に行けるようになります。
それまでに子どもはテーブルマナーを一生懸命練習して、身に付けるのです。
そうやって初めて、大人にしか行けない場所に連れていってもらえます。日本ではそうした習慣があまりなく、ずっとファミレスのままです。
今時はコース料理もランチなら手頃な価格で行けるので、お子さんを連れていってみてはいかがでしょうか。
お兄ちゃんには「12歳になったら、お父さん、お母さんと一緒に、大人だけが行けるお店にランチに行こうね」と話して、妹には「8歳だからまだだめ。おばあちゃんちでお留守番よ」と言うと、お兄ちゃんには大人の自覚がものすごくでてきます。
そうして、大人として扱われた経験をすると、「お兄ちゃんなんだから、妹を守ってあげなきゃだめよ」と言われた時に、「そうだな」と思えるのです。
いつまでもファミレスで妹と大騒ぎをしていたら、大人の自覚は生まれません。
現代の親や社会は、いつまでも子どもを子ども扱いしすぎる傾向があるのです。