イメージトレーニング時の身体の使い方

2023.08.31

具体的なイメージトレーニング方法には、次の3つのポイントがあります。

1.脱力をする。

2.きちんとポジショニングする。

3.呼吸法を意識する。

まず、1の脱力を意識してみましょう。

皆さんが本番で力を発揮したいなら、まず、自分には余力な力が入っていることを自覚するべきです。

その余分な力が身体を疲労させ、いつもと違うぎくしゃくとした動きになり、ミスにつながるのです。

脱力というのは、余分な力を抜いてリラックスした状態で、「今、自分がここに存在している」という状態を作ることです。

例えば、両手を組んで空に向かってグーッと突き上げ、大きく背伸びをします。その後、フーッと力を抜いて、一気に手足をダラーンとしてみてください。ちょっと力が抜けた感じがしませんか?

さらにもう一度やってみましょう。何となく気持ちが落ち着いてくるはずです。

私たちは、ストレスやプレッシャーによって無意識に奥歯を食いしばり、身体に余分な緊張状態を作ってしまいます。

脳で描いたイメージが身体の隅々まで行き渡るには、それを邪魔するものがあってはなりません。

ギュッと踏みつけられたり、よじれたりしたホースには水が通りません。ホースはダラーンとしている時に一番水が通りやすいのと同じです。

ホースを通る水を良いイメージに置き換えるならば、身体を脱力してそれがしっかりと伝わるような状態を作ってお
くことが大切です。

また、スポーツでは、力を抜いた直後に最大限のパフォーマンスが発揮されると言われます。

例えば、握力計を握って、力を入れて入れて入れて・・・・・・・・という状態では、そのうち数値は下がってしまいます。

ところが、ダラーンと力を抜いた直後にグッと握ると、一番のパフォーマンスが発揮できるのです。

次に、2のポジショニングについてです。

ポジショニングとは、自分が安定した状態を作ることです。

例えば、立ち話や何気なく会話をしている時に嫌なことを言われると、ダメージはとても大きくなります。

ところが、しっかりと安定した姿勢をキープしていると、ネガティブなことを言われても、ダメージを受けにくいのです。

ですから、なるべく姿勢を低くして、立つよりも椅子に座る椅子に座るよりも床に座る、床に座るよりも床に寝転がります。

なるべく視線が床に近い方が、安定した姿勢を保てるでしょう。

いつも安定した姿勢を作ることによって、どれだけストレスやプレッシャーにさらされても、きっと最高のパフォーマンスを発揮できると思います。

イメージとしては、ちょうど起き上がりこぼしみたいなものです。

自分の下腹あたりに重りが入っていて、誰かがあなたを動かそうとしても、どっしりと安定して動かないというイメージを、大きく深呼吸しながらしてみてください。

そして次にその安定した状態から、身体が軽やかに跳んだり走ったりするように、静から動へとイメージを切り替えていきます。

そして、3の呼吸法です。

呼吸は、意識と無意識をつなぐ不思議な役割を持っています。

例えば、「左手を上げてください」と言われて、意識して左手を上げることは誰にでもできます。

ところが、寝ている間に勝手に左手が上がることは、ほとんどないと思います。

これは、意識による行動のため、寝ている時にできないのは当然です。

ところが、寝ている時でも心臓は動いています。「では、今度は意識して心臓を止めてください」と言っても、できるはずがありません。心臓は意識しなくても生命維持のために動き続ける、大切な無意識の領域なのです。

では、呼吸はどちらに分類されるのでしょうか?

私たちは「息をしばらく止めて」と言われたら、意識的に呼吸を止めることができます。

呼吸を速くしたり、遅くすることだってコントロールできます。

ところが、寝ている時や意識を失っている間でも、通常呼吸は止まることがありません。

そう、身体の中で唯一、呼吸だけが意識と無意識の両方でコントロールできる、非常に重要な機能になっているのです。

昔から、精神統一に呼吸は重要だとされてきました。

瞑想やヨガはもちろん、健康を司るプログラムの多くでは、腹式呼吸といわれる深い呼吸を提唱しています。

腹式呼吸によって身体が安定し、精神的にも落ち着き、不安や恐怖が脳の中で打ち消されていくからです。

頭の中でイメージを思い描く時も、必ずこの呼吸を意識してください。

速い呼吸をしたままでリラックスした風景を思い浮かべることはできません。

逆に、ゆっくりとした呼吸で興奮状態になることもできません。

緊張やプレッシャーは知らないうちにのしかかってくるため、常に深い呼吸を心掛け、姿勢、ポジションを取り戻し、余分な力が入らないようにして、良い状態を作りましょう。

それができたら、良いイメージを脳で描いていきます。こうしてイメージトレーニングを行っていくのです。

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