お互いの敬意を言葉に出す

2023.09.09

チームのコミュニケーションで大切なことは、お互いに敬意を持って接することです。 

「彼はこういうところが凄くて、一目置いている」というものです。

例えば、一見、裏方の仕事をしている人でも、その道でしっかりとプロフェッショナ ルを貫いていれば、周りの人たちはリスペクトできます。時には、リーダーがその人たちに労いの言葉をかける必要があります。

それによって、たとえ裏方でも、自覚を持ってプロとしての仕事ができるのです。

あるスポーツのチームで、裏方としていつも選手を支えている人たちがいました。 しかし、あまり評価されず、いくら頑張っても華やかな舞台に立つことはありません。

それでも責任だけは重大で、選手がトラブルを起こすと呼び出されるのはこのスタッフたちです。

そして、選手もわがままを言ったり、自分よりも下の人間として扱うことが多ありました。

このチームのメンタルトレーニングをしていた時、あることに気づきました。

このスタッフたちは、メンタルトレーナーよりも長い時間選手と接していて、選手と 話す機会も多いということです。

一緒に食事したり、合宿で寝泊りしたりします。外部 からやってくるメンタルトレーナーとは違い、身近な存在なのです。

そこで、このスタッフたちに集まってもらって、次のような提案をしました。

「私たちと一緒にメンタルトレーニングのチームを組んでほしいのです。なぜなら、 選手が本当に辛い時に愚痴を言う相手はあなたたちでしょうし、選手の体調に異変があった時、メンタルトレーナーや監督より、あなたたちの方が先に情報を知るかもしれな いからです。そして、メンタルトレーナーに直接入ってこない情報をもとに一緒に考 るパートナーになっていただき、勝てるチームにしたいと思います。皆さんの力にかか っているのです」と、お願いをしました。

それまでは、メンタルトレーニングなんてよくわからないとか、自分とは関係ないという冷めた目で見ていた若いスタッフたちの顔つきが、ぐんぐんと変わってくるのがわかりました。

「選手が頑張れるかどうかもあなたたち次第なんです。あなたたちのちょっとした声がけや配慮が選手のメンタルを大きく左右します。 メンタルトレーニングの専門的なスキ ルを全て提供しますので、皆さんは専門家ではないけれど、メンタルトレーナーのスキ ルを持ったスタッフとして選手たちに接していただけませんか?」 と。

すると、スタッフの一人が言いました。

「そのように思われるなんて、今まで考えませんでした。自分はスポーツを途中で止め た身なので、選手から下の人間だと思われています。だから選手はいつもわが 章を読み終えるまで:4分 し、こちらもいろいろと気を使うことがありました。でも、このスポーツが好きだから関わっていたくて、スタッフをやっています。自分 たちが選手のメンタリティーを左右して試合の勝敗を分けるのならば、本当に頑張りたいと思います。いろいろ教えてください」

その日からメンタルトレーニングチームができ上がりました。

選手が試合会場の事前練習で顔をしかめていると、今までだったらスタッフは「触ら ぬ神に祟りなし」と何も言わなかったところを、「どうしたんだ? 何か具合が悪いのか?」とリラックスして聴いています。

選手も、「うん、まあ」と言いながら、その不安を聴いてくれて少しほっとしたよう です。そして、スタッフに付き添われてボディトレーナーのところに行き、ケアを受けました。

スタッフたちがプラスの言葉を用いてモチベーションを上げるコミュニケーションを行うことで、そのチームはかつてない好成績で全国優勝を成し遂げました。

その時、スタッフたちの笑顔は最高に輝いていました。チームのために直接役に立てると思うことで、一緒になって同じ目的を達成できたのです。

やがて、この秘密のメンタルトレーニングチームは選手たちにも知られ、選手はスタッフたちに意識的に労いの言葉をかけるようになりました。監督やコーチ陣も今まで以上に彼らの力を認めるようになったのです。

人は、チームの力によってさらに向上できます。もしもトップリーダーはそれ以上強くなれないとしても、チームの力を上げることは可能です。それはとても大切なことです。

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