誰でも陥りやすい「たぶん大丈夫」と思いたい気持ちは危ない

2023.09.15

そういえばここ半年から1年ぐらいずっと体調がよくないなと思っていました。

リオ五輪の仕事があり、海外に行ったときもなんとなく身体がだるく、今までのように気軽に移動すると疲れてしまうなどということがありました。

本を書いたり、クリエイティブな仕事をたくさんしたりしていたせいで、精神的に もピリピリして寝不足にもなったことも一つの要因なのかもしれません。

そんな無理をした生活が何か月か続いている間に、いつのまにか寝不足や疲れをビタミン剤で無理やり元気にして、何となく日々を取り繕っている感じで、常に神経を研ぎ澄ましているような状態が続いていました。

そんな時期が半年も続いたあるとき、何となく右の胸にしこりを感じました。

「しこりがある。もしかして・・・・・・」。誰もが知っている程度の、乳がんの知識はあります。なんとなく胸に、ある違和感を感じました。

そして、ここからの思考と行動が人生を大きく変えることになります。このとき私は、三つの落とし穴にハマりかけます。

まず私の身内には乳がんの人はほとんどいません。がんの家系ではあるけれど、母は胃がんだったし、どうも乳がんというのはピンと来ませんでした。だからきっと違うだろうという思考にハマります。

これが第1の落とし穴です。そして二つめ。乳がんのしこりというのは、日によって何となく感覚が違います。

昨日は少し気になっていた違和感も今日は何となくもうなくなっちゃったかなというような感覚もありました。

この「症状が確定しない」というもの。これが第2の落とし穴。

そして第3の落とし穴は、やはり「きっと大丈夫、違うに決まってる」と思いたい、がんでないと信じたいという気持ち。正常バイアスと呼ばれるものです。これが私たちを病院に行かせることを躊躇させる一番大きな原因。進行する病である恐ろしいがんが、私たちの未来を奪ってしまう 「思考の落とし穴」になるのではないかと後から振り返ってゾッとしました。

そんな三つの落とし穴がありながらも、私を救ってくれたもの。それは「子どもの頃から身体が弱かった」という事実でした。

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