いち早く現実を受け入れて対処を考えよう

2023.09.16

子どもの頃から身体が弱かった私は、これまでたくさんの病気をしてきました。

40代になってからは白内障の手術、喉のポリープ、胆石が溜まったことによる胆のうの摘出手術。決定的にすぐに死ぬわけではないけれど、入院や手術を数多くしてきました。

さまざまな身体の不具合は、私の中で対処しなければいけない、当たり前のものとして受け止めてきたのです。

健康診断は毎年受けていましたが、ここ2年ぐらいマンモグラフィを受けていないということを思い出しました。そこで前に手術を受けた大きな病院の乳腺科に連絡を入れてみました。

総合病院はどうしても、お休みをとって何度も平日の昼間に行かなければいけないという現実があります。

仕事が忙しい人たちにとってはそんな時間がないから、スケジュールが合わないからという理由で、つい検査を先延ばししてしまうということが あるのではないかと思います。

私はすぐに検査をお願いしました。

ここでの大切なことは、症状が軽いふりをせずに「しこりがあって違和感があるの大至急で検査をして欲しい」ということを、ダメ元で、電話でお願いしてみることです。

通常は、まずは問診、そして次に検査と数日は休みをとって病院にいくことになります。それが数週間、数か月の遅れになると、致命傷になります。スタッフの方に は素晴らしい対応をしていただき、すぐにその日に検査ができるようにしてくれました。

その対応のお陰で「なんとなく違和感があるかも?」と感じてから2週間以内ぐら いには、私は大きな病院の乳腺科で検査を受けていました。

そのおかげで、私は命びろいをしたと思っています。マンモグラフィの検査を受けたあと、細胞を取って詳しく検査をする状況になり、いよいよがん確定かなと感じても、心のどこかでは「大丈夫。きっとがんではない」と思いたかった。人間は自分に 降りかかる不幸はなるべく見たくない。だからこそ「念のためにすぐに検査に行く」ことは、とても大切なのです。

私自身もそうでしたし、私の家族はなおさらでした。 「たぶん大丈夫だよ」と、根拠もなく言うのです。もちろん私自身もそう思い込みたいのですが、どこかで「病気かも」とも思います。

こんなときは考えても仕方ない。

そして検査の翌週に検査結果を聞きに行きました。
検査結果を聞こうとすると担当の医師は「いつぐらいから具合が悪かったですか?」とか、「今身体の具合はどうですか?」などといろいろ遠まわしな質問をしてくるので、私は少し短気になってしまって「先生、結果はどうだったんですか?」と、強い口調で聞いてしまいました。

おそらく先生は、私がショックを受けないようにゆっくりとしたタイミングで伝えてくださろうとしたのだと思います。

しかし私にとっては、どんな伝え方をしても現実が変わるわけではなく、しっかりと対応をしていくためにもちゃんとしたことを聞きたかったという思いがありました。

だけど先生の口から「乳がんだと思います」と言われたときには、さすがに少しに ショックだった感じです。そのときに思ったのは、大切なのは「がんかどうかではなく状況はどうなのか? 助かる手段はあるのか?」ということです。

ですからすぐに「わかりました。どんな状況なのか、今後何をすればいいのか、教えていただけますか?」と、聞いたのを覚えています。がんである事実をいち早く受け止め、そのがんの進行具合がどんなもので、自分にできることがあるのか、きっとあるに違いない。という思いが私の心を占めていました。

さあ、ここからがまさに本当の意味で、「人生をかけたチャレンジ」です。
「負けないぞ」。病院の帰り道、1人でそう口にしていました。

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