カミングアウト (公開)してちゃんと治療できる環境をつくろう

2023.09.19

がんであることが残念ながら決まってしまいました。

これから、治療のことや生活のことを意識したとき、わからないことばかりが目の前に立ちはだかります。少なく とも簡単な状況ではないですし、これからしっかりと治療に専念していくための環境作りが、これからとても大切になります。

いろいろ調べたり、噂に耳を傾けてみたりすると、乳がんという病名を公表する人もいれば、公表しない人もいると聞きます。

そういえば歌手のマドンナは乳がんの疑いと言われたときに「私は手術しない」 なんてことも言っていたような?

だけど、 アンジェリーナ・ジョリーは、乳がんにはなってないけれど、リスクを心配して手術したらしい。乳がんをカミングアウトするということ。それらはまさに、自分で決め なければいけない最初の選択になってくるのだと思いました。

私の場合、なるべく隠し事をしないほうが、いろんなことをやりやすいと思いました。

基本的には全国どこにでも仕事で出かけていくし、実際によっぽどでないと、お休みをしたり、キャンセルをしたりということがない毎日を送っています。そんな中で、 がんであることを隠したまま治療に入るということは、相手に理由を伝えずに、もし くは嘘をついて仕事を休んだり、スケジュールを調整してもらわなければならないということになります。

そこで私は、信頼できる2人のスタッフを呼んで、自分の病気のことを話しました。そしてそれを公表しようと思うけど、どう思う?と相談しました。

2人は、私のことをとても心配してくれました。中には心ない人が、がんであることを理由に私を誹謗中傷するのではないか、ということの心配や、業界団体の代表理事であり、会社の代表である私が、病気、しかもがんのような重症な病気になってしまった場合、世間からは、今まで私が支えてきた(ように見えている)組織や会社そのものが大きく崩れてしまわないかということなど。

だけど彼女たちは私の思いを大切にしてくれました。

「カミングアウトはお任せします。決まったら、私たちは浮世先生が安心して治療をできるよう、やるべきことをやるだけです」と言ってくれました。

彼女たちの思い、 私のこと、身体や存在を大切に思ってくれる気持ちが心からうれしく ・染み込んできました。

そして、そのうえで私は、こう言いました。「やっぱりがんであることを公表 しようと思う。なぜならば、公表したほうが納得してもらってお仕事も休めるし、い ろいろな調整がきくと思うんですよね」。

何より、がんの治療を黙ったまま密やかに治療するなんてなかなか難しい。

私みたいな騒がしい人間が突然お仕事を休止しても、逆にあれこれ重症なんじゃないか、なんて勘ぐられてしまうかもしれない。

それだったら、いっそしっかりとカミングアウトをして、自分の病状を包み隠すことなくオープンにし、その中で一緒に頑張っている姿を皆に伝えたほうがいい。

もちろん仕事や立場によっては、乳がんと言いたくないという人もいます。

女性にとって、乳がんというのはまたある意味特別な意味を持つところがあるようです。

乳房は女性性の象徴的な存在でもあるようで、温存したいとか、手術を受けたとしても、 それを公表したくないという方がいても全く不思議ではありません。

ご主人が公表するのに反対するという話も聞きます。あのマドンナだって、自分が「乳がんかも…」 という疑いを受けたときに「私は手術などできないわ」 と弱音を吐いたといわれるぐらいです。

その気持ちも女性としてよくわかります。けれど私は、 乳房の手術のあるなしで自分の女性としての価値が変わるとは思いませんでした。

女性らしさや女性としての価値は胸のふくらみだけではなく、自分の精神性から生まれるものだと思うからです。私は、しっかりと闘病生活に向かっていくためにもカミングアウトし、その中で頑張っていくと決めました。

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