2023.11.11
どんなにさまざまなシチュエーションを想定して練習を行っても、すべて想像どおりに進む試合はありません。
プロサッカー選手の遠藤さんは試合中、相手が次にどんなプレーをするかを先読みして、自分がやるべきことを一瞬で判断し、瞬時に行動に移しています。
一瞬のうちに「思考」と「行動」を繰り返すから、「考えている」という意識がない。
これがプロサッカー選手の遠藤さんの言う「白紙」の状態。
刻々と変化する戦況に即座に対応し、いいプレーをするために遠藤さんが手に入れた、メンタルの扱い方だと言えます。
経験が増えてベテランになると、過去のデータに基づいてさまざまな判断を下し、行動していく場面が増えます。
しかし過去のデータが増えるほど、自分の思い込みや苦い経験などから負の記憶が蓄積し、それに影響されて現状を正確に見極めることができなくなる可能性があります。
たとえば選手があるプレーをしてケガをしてしまったとします。
そのイヤな記憶 がいつまでも残り、同じようなプレーになると体が固まって動けなくなる。
もしくはひどく蒸し暑い天気の日にボロ負けしてしまったら、同じような天候の日には「今日も負けるかも」という考えがよぎってしまう ・・・・・・。
遠藤さんは、そういった過去データの蓄積から生まれる負のイメー ジにとらわれないよう、「白紙」の状態でいるのだと思います。
また、遠藤さんは長年の経験から、「先読みするスキル」を身につけて います。「優れた選手は、ボールを持った瞬間にシュートまでのシミュレーションができる」と聞きますが、まさに遠藤さんはそういう選手なのだと思います。
若い選手の多くはボールしか見えていないことが多いのですが、遠藤さんはボールを持っていながら、どの選手がどこにいるか、位置までクリアに見えていて、そのうえで次のプレーを選択しているわけです。
驚くべき空間認知能力と、そして判断力です。 タフなメンタルと先読 みのテクニックを兼ね備えているからこそ、「白紙」になって自分のベストを出せるのです。