名女優から大統領候補へのエール メリル・ストリープ

アカデミー賞ノミネート回数 21 回、主演女優 賞2回、助演女優賞1回、出演作品数74本という偉大な記録を持ち、映画史に名を連ねる名女優メリル・ストリープ。

その輝かしいキャリアの一方で、彼女は女性やマイノリティの権利、政権批判など、センシティブな政治的イシューにも物怖じせずに立ち向かう、「現代の勇敢な女性像」 を体現するひとりにもなっています。

長い女優人生の中で、彼女自身がグリット力を 発揮してきたことは想像に難くありませんが、彼女がグリット力について公に発言したのは、他人を褒め称えるときのことでした。

2016年、フィラデルフィアで開かれた民主党 全国大会でのこと。大統領選に民主党代表として 立候補したヒラリー・クリントンの応援演説のために、メリルは登壇しました。星条旗をあしらっ た優美なドレスに身を包んだ彼女は、次のように ヒラリーを褒め称えました。

「オバマ時代の国務長官とビル・クリントン時代のファーストレディ、そのどちらもヒラリーで あり、“グリット(やり抜く力)” と “グレース (優美さ)”を兼ね備えた彼女こそが、アメリカ史上初めての女性大統領となるに相応しい」
彼女が贈ったエールには、「やり抜く力」という言葉が添えられていました。皆さんはすでにご 存知のように、このときの大統領選では共和党候補のドナルド・トランプが当選し、45代合衆国大統領の座に就きました。

結果は残念でしたが、この名女優のスピーチが、 拮抗する大統領選の中で息切れしていた民主党陣 営に、今一度息を吹き込むグリット力に満ちていたことは事実です。