2022.12.14
試合にプレッシャーで負ける人は少なくありません。
実はプレッシャーとは、まわりからかかるものではなく、自分のなかに作り上げているものです。
自分の内面にある思考からくる価値観によって、私達は勝手に「圧力」を感じているのです。
「オリンピックに出ないと故郷には帰れない」
「失敗は許されない」
「カッコ悪いところは見せられない」
こういった自分のなかに作り上げた妄想があって、この思考が私達を伸び伸びとさせてくれないのです。
今回は自分のなかで勝手に作り上げるプレッシャーをどんな風に乗り越えていけばいいかについてお話をしていきたいと思います。
自分のなかで勝手にプレッシャーを作り上げてしまうと、試合会場の状況や雰囲気も関係なく、「雨が降っているから」「ギャラリーがいるから」といった外的な要素はプレッシャーとはなりません。
それよりもありもしない自分への期待や妄想に苦しめられているのです。
プレッシャーが自分のなかにあると気づいていない人は、「ギャラリーがうるさかったから」などとよく言います。
目につきやすい外的要因に意識が向いているだけで、実はプレッシャーの原因としてはまったくの見当違いです。
自分のなかにプレッシャーがあることを認め、自分を必要以上に緊張させたり、固くしたり、伸び伸びとさせない思考や価値観が何なのかを見極めましょう。
思考や価値観を変えるには、メンタルトレーナーと話すことがもっとも効果的です。
人と話すことによって、自分のなかにはこんな思考や価値観があるのだと改めてわかるものです。
メンタルトレーナーと話すのがむずかしい場合は、自分とできるだけ価値観が違う人と話してみるといいでしょう。
さらに自分の内面や感情を日記やブログなどに書く習慣を身につけて、自分自身と向き合えば、気づきが得られるはずです。
試合中に自分のなかの妄想、つまりプレッシャーがわき上がってくる場合があります。私は試合前にの選手にこう言います。
「大丈夫です。誰もあなたに期待していませんよ」
「いや、そんな言い方をしなくても・・・」
「じゃあ、期待してほしいわけですか?」
「いや、してほしいわけじゃないけど」
「勘違いですよ。期待されていると思っているでしょう。誰も思っていないですよ」
「そんなことはない。親は期待をしてくれている」
「親はあなたがおじいちゃんになっても期待するものです。期待するのが仕事ですから」
この期待という言葉は、非常に厄介です。
何だか甘くておいしそうな匂いがプンプンとします。
人は「期待している」と言われると、自分の価値がものすごく上がったような気になります。少し高揚感さえおぼえます。
もちろん、「期待してくれているから頑張ろう」とも思えるので、完全に悪いものというわけではありません。
練習の時にはいい感じに機能しているのです。
ところが期待を試合に持っていってしまうと、たちまちプレッシャーに押しつぶされてしまいます。
期待とは、「達成できて当たり前。できないと失望」の意味がありますから、人をものすごく悪い状態にさせるのです。
だから、私は「期待は試合会場に持ってこないようにしましょう。ホテルの部屋に置いてきてください」「誰もあなたに期待していないから大丈夫」と言うのです。