2023.01.10
なぜ、あんな負け方をしてしまったのかと、いつまでも落ち込んで気持ちを切り替えられないまま選手がいます。
次の試合が迫っていれば、どこかで気持ちを切り替えなければ、その試合の準備もままなりません。
よく「気持ちは、なかなか切り替えられないもの」だといいます。でも、これは錯覚です。
試合に負けたいという選手はいません。
それでも、次の試合へ向けて気持ちを切り替えられないのは、切り替えたくないのです。
「気持ちを切り替えない」「気分が落ち込んだまま」であるほうがいい理由が、自分のなかに必ずあります。
「試合に負けた理由にできる」
「まわりが優しくしてくれる」
認めたくないでしょうが、心の奥底にそのような気持ちが潜んでいます。心理学ではこれを「疾病利得」といいますが、落ち込んでいると得をする何かがあるのです。
気持ちを切り替え、落ち込みをなくすのは簡単です。
友達にランチでもご馳走しながら、自分のいいところを10個ぐらい挙げてもらって、ほめてもらうといいでしょう。
そうして、気分を上げて、自分の素晴らしさを再認識してください。自分1人でやらずに友達に言ってもらうのが、ポイントです。
他人という客観的な視点からほめられることで、自分の存在価値を見つめ直すことができ、自分を信じられるようになるのです。
すると、改めて前の試合でのダメな部分を検証したり、次の試合にそれを生かそうと前向きな姿勢になるはずです。
ちなみにですが、この疾病利得を放っておくと、集中力が切れて、変なミスをするようになってしまいます。
看護師が点滴を取り違えたり、飛行機の管制官が違うスイッチを押してしまうことがあります。看護師も管制官も、本来絶対やってはいけないミスです。
それぞれの能力が落ちたわけではありません。メンタルの問題なのです。さらに放っておくと、無気力になって、次第にうつ状態になります。
自分で自分に「うつ持ちの自分」というレッテルを貼ってしまって、結局自分自身を落としてしまうのです。
ここまでくると、落ち込みの原因は子どものころのトラウマなどとリンクしていて、自分ではなかなかわかりません。
きちんとカウンセリングを受ける必要があります。自分のなかでトラウマとして残る怒りや憤り、理不尽さを、カウンセラーとともに探し出し、処理しなければなりません。
試合に負けても、試合中に失敗しても、自分の存在が否定されるような深刻な状況ではありません。
負けや失敗はいろいろな要因があわさって、ダメになっているものです。だから、なぜダメになっているものです。
だから、なぜダメになったのかを検証して、何度もチャンレンジしていけば、いずれは目標を達成できるようになるのです。